浅草 浅草寺
2016/08/12
東京出張報告。打ち合わせの時間までに「瓦廊」さんの記事から私も、あの話題の日本初のチタン製本瓦葺きを実際に見てみたくなり行ってきました。
メトロ銀座線「浅草駅」を降りて歩くこと3分。
見えてきました、あの有名な「雷門」
あいにくの雪模様。朝9時頃なのにもう沢山の人が、仲見世にも・・・
ついに見えてきました、チタン屋根の「宝蔵門」
このような天気では全く粘土瓦か金属かの区別はつきません。
(天気がいい日には見分けがつくのかもしれませんが・・・)
近くへ行って隅巴や唐草瓦の納まりなどを見るとようやく判別できるほど、いわゆる精巧に(粘土瓦のイミテ-ションという意味を込めて)できています。
驚きです。また、棟の反りなどもよく研究して納められていました。
下の写真の本堂は粘土瓦ですが、全然見分けがつきません。
警備の人に話を聞くと、ゆくゆくすべての屋根をチタン製に葺き替える計画だそうだよと教えてくれました。
次は本堂で2~3年のうちに掛かるそうです。
宝蔵門のことを少し調べてみました。
屋根面積は1080㎡、鉄骨・鉄筋コンクリ-ト造り。
昭和20年の空襲で焼失、昭和39年、ホテルニュ-オ-タニの大谷米太郎氏の寄進で復興される。
ですから、わずか50年足らずで葺き替えられることになったわけです。
使われたチタンは約7t。
「日経ア-キテクチャア」より掲載。
工事費が粘土瓦の2~3倍と聞きます。
はたして、この建物に対して金属にしないといけない理由が耐震性に限ってもあるのだろうか?
粘土瓦でも充分耐震性に対応できる工法も開発されています。
わずか50年くらいしか経っていない瓦であれば耐震工法でその瓦で葺き直しも出来たはず。
瓦のほうがはるかにエネルギ-消費に関しても金属に比べ少なく地球にやさしいのに・・・
そして完璧なまでに水をシャットアウトできる構造を開発できたということですが、逆にその方が怖いと思います。野地のムレ、結露をどのようにして解消するのか、一旦入った水をどのように排出させるのか、瓦のような縦の空気層がない構造のようなのでその対策はどのようにされているのかにも興味があります。
金属瓦自体は確かに50年~100年はもつでしょうが、木部の野地が果たして・・・そして例えば50年先、もう一度この金属瓦を再使用して葺き直しが可能なのか、その時にならないと判らない筈です。
物事の本質をもう一度見つめ直してもらいたいとこの現場をみて思うのでした。